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なかでも今回レポートするセッションは,主にサウンド周りにフォーカスが当てられた内容で,その名も「FINAL FANTASY XIII's Motion-Controlled Real-Time Automatic Sound Triggering System」というものだ。戦闘シーンでの斬撃音や魔法といった,ゲーム中で発生する各種効果音,カットシーン(ムービーシーン)におけるキャラクターの挙動
音(足音など)の発生(指定)などを,モーションやコリジョンの判定によって自動的に行ってしまう技術の解説である。
登壇したのは,スクウェア?エニックスの土田善紀氏と矢島友宏氏の二人。土田氏は,元々はモーションやレンダリングなどグラフィックス関連のプログラミングに従事しており,「ファイナルファンタジーXII」でも開発ツール類の設計に関わった。一方の矢島氏も,スクウェア?エ
ニックスのサウンドデザイナーとして,「ベイグランドストーリー」や「ファイナルファンタジーXI」など,同社の数々の作品に携わってきた人物だ。
信長の野望
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さて,昨今のハイエンドゲーム開発においては,その映像技術が飛躍的に高まっていくなかで,モーションやAIなどと同時に,リアルなグラフィックスに当てても違和感のないサウンド作りも求められるようになってきており,結果として,ゲーム全体の開発コスト――すなわち“物量”が問題となっているのは,いまさら指摘するまでもないことだろう。
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なんだかんだで見た目的に分かりやすいグラフィックスの陰に隠れてしまいがちだが,もちろんサウンド関連の制作コストも例外ではなく,高性能な現世代機に移行するにあたって,それこそハリウッド映画並みの物量とクオリティが求められる場面も少なくないという。
国産の超大作ゲームといえば,やはりFF13がその代表的なタイトルとなるわけだが,本作においても,そのサウンドに関する作業は膨大なものになっていた模様。今回の講演は,そうしたゲームサウンドに関わる作業を少しでも軽減すべくFF13の制作過程で開発した,“MASTS”と呼ばれる独自システムの話が中心となっていた。
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講演の口火を切ったのは,サウンドデザイナーの矢島友宏氏だ。矢島氏は,まず自身が携わったタイトルでの実例を挙げながら,専用のツール(シーケンサー)を使って手動で音を当てていく方法や,イベントテーブルを用いて状況に合わせて音を鳴らしていくという従来型の手法について触れ,「このやり方では限界があると感じた」のだと語る。
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イベントテーブルを使うというのは,例えば,歩く音のパターンを何種類か用意しておき,キャラクターが歩いている地形によって,鳴らす音を変えるというやり方だ。これは今でもよく使われる,とてもポピュラーな手法の一つではあるが,これでは,発生する音が単調になってしまうなど,現在のリアルなグラフィックスに対応した“よりインタラクティブ”で“自然
に聞こえるサウンド”には程遠い。また,モーションキャプチャーや物理演算を使うことで,きめ細やかなキャラクター/オブジェクトの動きが表現できる現在。その動きに対して自然に聞こえる音を当てていくことは,もう手動では追いつかないという問題もあるのだという。
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例えば,「ファイナルファンタジーXII」では,そのイベントシーン用の“足音(挙動音)のサウンド”だけで,8000を超える数のデータを用意したのだというから,ゲーム全体の作業量たるや推して知るべしであろう。
矢島氏は,こうした問題意識から新しいサウンドシステムの必要性を感じ,それが「Motion-Controlled Real-Time Automatic Sound Triggering System」――すなわちMASTSの開発へと繋がっていくわけだが,この構想を社内で説明してまわっていた当初は,プログラマ陣からの反応はあまり芳しくなかったらしい。
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これからのゲーム開発を見越して開発されたMASTS
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「MASTSの
引用元:Final Fantasy XIV|14 総合情報サイト